百合子は切なげに翔の瞳を見つめ、もう一度ごめんね……と呟いた。

「……何だよ」

「翔、分かって」

「何だよそれ。ハッキリ言えよ!好きな男がいますってよ!」

強引に胸ぐらを掴まれ、グイと顔を引き寄せられる。

「たっちゃんが好きですってよ!」

「……う、あ」

脳裏に達也の顔が浮かんだ。

助けて、

助けて……

「……たっちゃん」

百合子の頬に、一筋の涙が溢れた。