「ゆりじゃなきゃダメだって何度言ったら分かるんだよ。俺がどうなったっていいのかよ……なあ!!」

「しょ…う……」

ごめん……ごめんね。

ガンガンと頭を壁に押しつけられ、朦朧とする意識の中で、百合子は翔の頬に細い指を伸ばした。

「もうダメなの。……私には、このまま翔といることなんてできない」

「……なんで?」

「翔……」

「なんでだよお!」

翔が手を振り上げる。

百合子はその手を懸命に掴み、止めどなく溢れる涙を振り乱した。

「このままじゃ二人ともダメになる!」