入ってきたタカヤの後ろに誰か人影が見えたが、タカヤの顧客だろうと気にもとめずに、ユリカは目の前の女性へ言葉を促す。


普段はにこにこと清やかな女性だが、日本語がうまく扱えないためか、言葉を慎重に選んでいるようす。


両替に不備でも、と言ったユリカに、女性はぶんぶんと首を左右に振った。


ようやく決心がついたらしい女性は、たどたどしい口調で後ろを指差した。


「お金、下さい」