女性のことは気になったが、防犯訓練は確か4時からと言われてた事を思い出し、こうしてはいられないとばかりに端末を叩く手を速めた。


シャッターが閉まる数分前、取引先の会社が窓口へ振り込みを預けていったため、そちらを最優先で処理しなければならない。


──まったく。振り込みは2時までと、何度言えばわかるのかしら。


ロビーに客がいなければ、舌打ちのひとつやふたつ、していたかもしれない。


ユリカは振り込み用紙に書かれたものを、片っ端しから端末へと打ち込んでいく。


一枚の振り込み用紙に5件ほど書けるものが、束になって渡されたときは、思わず客相手に嫌みを言うところだった。


それをなんとか飲み込み、『本日中に相手方へは振り込まれない可能性もある』ことを示唆したが、相手は慣れた様子でユリカに束を押し付けていった。


なんだかんだ言っても、本日中に処理を済ませることを知っているのだ。