「はい、プレゼント!」


彼は何かを書いた紙をお盆の上に乗せると、にっこり笑って背中を向けた。


「あのっ、これって?」


私は彼の背中に向かって訊いた。四角に折り畳まれている紙は、お盆を抱えている状態では見られないからだ。


「返事、三日以内によろしく」
「え?」


返事って、さっきの返事?

私は近くの棚にお盆を置くと、急いで紙を開いてみた。そこに書いてあったのは、走り書きのような字。



“小椋櫂(オグラカイ)
 ***@docomo.ne.jp”

ダメだと分かっていながら、私の心臓はうるさいくらい高鳴った。

先が見えてる恋なんて辛いだけ。

初対面の相手にこんなことするなんて、
きっと他の女の子にも同じことしてる。


だから……期待しちゃダメ。

恋は本気になった方が負けなんだ――。