「見てみて! あの人かっこいい」
「えー? あの赤い髪の人?」
「うん! あ、でも歌はイマイチ?」


好き放題言う私達。ミーハーな柚葉は「かっこいい」を連発しては目を輝かせていた。


「ねえ、早希!」
「何? またかっこいい人?」


半分呆れながら訊くと、柚葉は首を縦に振った。

また柚葉が好みのビジュアル系かと思いながら振り返る。まさかこんなにも胸がうるさく鳴るなんて、思いもせずに。


「あの人! モデルみたいじゃない?」


それは私が出会った時にも思ったこと。
まるで雑誌から飛び出したように綺麗な人。


紛れもなく“彼”だった――。