補習室に入るなり、先生は「どうしちゃったんだよ」と苦笑した。
授業中はちゃんと答えられ、小テストでも点を取れていたのに、中間試験で赤点。

「ちゃんと問題読んだか?」 読みました
「この前はできてただろ」 もう忘れました
「今回簡単だったんだぞ」 そう思います

私の受け答えは、噛み合っていなかっただろう。
先生は軽く補習をし、再テストの問題のヤマを教えてくれた。補習なんて、そんなもの。

「そうだ、これやるから、勉強しながら聴くといいよ」

そう言って、先生は一枚のCDをカバンから出した。

”Belinda Carlisle”


私の「意図的な補習」が終わるまで、奈美が外で待っていてくれた。
先生にCDを貰った話をすると「告っちゃえよ」と、喜びながら煽ってきた。

補習は3回と決まっている。あと2回ある。
私はこのCDをダビングし、通学中も聴いた。1日中聴いていた。どこかで聴いたことのある曲だった。


先生は、答案用紙に色々書く先生だった。
前回より点数が上がったり、いい点数を取れば「Great!」とか。一言何かを書いてくれていた。

わら半紙の小テスト。先生は「これ10点取れなかったら放課後来いよ」。
私たち生徒は当然「やだー」「めんどくさい」と騒ぐ。


私は、白紙で出した。
答案には「4:00 面接室」と書かれていた。