ちょっとだけ、中田涼子を知りたくなった。

…女の子に興味を持つなんて、初めて。


「……瞬くんを見ていたら、誰でも分かるものね」

「そうそう。でもね、麻友ったら全く気付かないの。…もう、もどかしくって」


半ばなげやり気味に話していたけど…
本当は、辛かったんだろうな、と安易に想像できた。



「でね、麻友のことを見るのも辛くて――、麻友のこと、嫌いになりたくて仕方なかった。
楽になりたかったんだよね」


「…そうね」


私も一緒。

悔しいけど…嫌いになれない。



「いつからか…でも、そんな醜い自分が好かれるわけないじゃんって思ってさ。
すんなり諦めついたの。…好きって感情はまだ、あるけど」

――そんなことない。
そんなわけない。


……だって、貴方は私に笑いかけてくれたでしょう?


「醜くなんかないわよ!」



私はいつの間にか叫んでた。

傍から見れば傷の舐めあいに思われるかもしれない。

偽善者なのかもしれない。


だけどね。

初めてこんな本音で心情を言ってくれる人がいなかった私にとって、彼女には悪いけど……とても嬉しかったの。


例え、内容がどうあれ…私のことを心から認めてくれているような気がして。