「――いいよね」
「え?」
彼女は、少しふてくされた顔をしながら、私の隣へ座った。
「麻友ッ」
ムカつく女の名前を言った彼女はとても悲しそうな微笑を浮かべていた。
それが何故かとても気になって。
「……どうして、そう思うの?」
「それは、私が…柏木さんと同じ、だからかな」
それって…まさか……。
私は質問したことを後悔した。
「貴方…」
私が言いかけた途端、彼女は私の唇に指を当てた。
「ダーメッ言ったら。まだ麻友にも…言ってないの」
なんと言っていいか分からず、「そう…」とだけ呟いた。
「多分柏木さんも分かると思うんだけど――。
あの2人を昔から見てきた身から言わせると…瞬は無理、なんだよね」
一目見て、恋をした私。
昔から…恋をしていた彼女。
同じ人を好きになって、その恋が報われなかった私たち。