体育館に着いて時、大きな歓声が聞こえてきた。
―――…どこか、終わったのかな?
人垣をかき分けながら進んでいるうちに、『アンコール』の声が聞こえてきた。
『じゃぁ、期待に応えて…』
マイク越しに聞こえてくる大人びた声…―――
「悠太だ!」
あたしはステージの見える位置に必死に移動した。
「あっ!薫、待って」
英介くんのそんな声も入らないであたしは悠太を目指した。
―――…いつの間にか、手は離されていた。
「あれ?英介くん?」
いい位置を見つけて我に返った時は隣に英介くんの姿はなかった。
「薫っ!」
後ろから追いついた英介くんは息を切らしていた。
「もうっ…、はや、すぎ…」
「ご、ごめん」
でも悠太をしっかり見ることができる所だった。