なんだかんだで約束の時間…――。
あたしたちは手をつないで校内を見学していた。
最近は恋人みたいなことにやっと慣れてきた。前みたいに毎回顔を赤くするようなことも徐々に減っていった。
「次、どこ行く?」
英介くんはあたしの顔を覗き込むように尋ねた。
「うーん、そうだな…」
考えていると、体育館の方から何か大きな音が聞こえてきた。
「あ、バンドっ!」
「バンド?」
「うん。見に行こうよ、バンド」
悠太がやっているんだった。すっかり忘れていた。
…終わってないといいけど。
あたしは無意識に足を早めていた。