―――…あたしは、柳田君と付き合うことにした。
あたしに告白してくれたのは柳田君が初めてだったし、その瞳は曇りのない澄んだ色をしていたからなんだか自信を持てた。
「―――幸島さん、帰ろ。」
隣から柳田君があたしを覗き込んできた。
――――恋人同士は普通、毎日一緒に帰る……らしい。
そして彼氏は必ず彼女を送る……らしい。
どちらも柳田君が言ってた。
あたしは彼氏なんて初めてだから、何も言えなかった。
帰り道は話が絶えなかった。
あたしはこんなにも通じ合える男の子は双子以外に初めてだったから驚いた。
だから、このまま柳田君を好きになれると思った。
「ねぇ、やっぱ付き合ってるのに名字呼びってどう?」
「え!じゃあ何て呼ぶの?」
柳田君は、そのくらい察してよ、と笑いながら教えてくれた。
「ほら、名前とかさ…」
「…名前。」
「俺のことは英介でいいからさ!」
キラースマイル。
この笑顔に一体何人の人を射止めてきたのだろうか…。
あたしはその顔を分析しようとじっと眺める。
「――…え、何?」
今度は柳田君は少し困ったような顔をした。