「父さんはカメラマンなんだ。」



驚く私に説明した。



「実はこれ…」



私はバックから一冊の本を
取り出した。



それは海の写真ばかりを集めた
写真集だった。



しばた みずき 



それが彼の父の名前だった。



その本を見て、



ここをデートの海に選んだ。



しばたみずきを初めて知ったのは


とある書店だった。



なにか心が穏やかになりたくて



写真集を探した。



ふと見ると青い表紙の本が…



ページをめくると、



海の写真が飛び込んで来た。



サーファーばかりを写した



ありがちな写真集だったが、



私の目はその中の一枚に



釘付けになった。



波と楽しそうに



たわむれている少年



まだ中学生くらいかな。



あどけない立ち姿だったが、



見事に波をとらえていた。