あの人に初めて手をあげられたのは、あの人が家に来てまだ間もない頃だった。


その日も普通に1日が過ぎると思っていたんだ。


でも、そぉじゃなかった…。



父が仕事で出張に出掛け、あの人と家で2人きりの時のことだった。


「智恵ちゃん、晩御飯出来たけど…」


1日ずっと赤の他人のこの人と2人っきりなんて、虫酸が走る…


無視して私はコンビニの弁当を取り出す。


「…何してるの?」


「私、これ食べるから」


「え?どうして?」


「他人の作った物なんて食べたくないから!」




―――パシン!!!




「!?」
何この人…!?
みるみる顔つきが変わる


「あんた、人が折角良い母親演じてやってんのに何よその態度!?」

母親?

よく言うよね。


「何が良い母親!?頼んでなんかない…それに、どうせあんたもお金目当てなんでしょ…?」


―もしかしたら、どこかで期待してたのかもしれない。"違う、お金目当てなんかじゃない"って…


でもやっぱり…
「そうに決まってるじゃない?お金目当てじゃなかったら誰が子供付きの男なんかに付いてくるもんですか!」


やっぱりみんなおんなじ…
この人も今までの人とおんなじだ…
その日から、あの人は本性を表したように私に暴力を振るうようになった。