そんな辛い毎日を送っていた智恵をもぉ一つの悲しみが襲っていた…。

新しい親からの虐待が始まったのだ。

「ただいま…。」

良かったぁ。あの人まだ帰って来てないみたいだ。

「ふぅ…。」

あたしは部屋に入り、鞄を投げ捨てベッドに転がり込んだ。

「バタン…。」

あっ。あの人が帰ってきたみたいだ。一気に自分の身体が硬直するのがわかった。あの人が階段を上がってくる…。

「バタン。あらいたの。」冷たい声が部屋に響く。
それだけ言うとあの人は、興味無さげに部屋をあとにした。

「ふぅ…。」

今日は幾らか機嫌が良いみたいだ。
ここにあたしの居場所なんてない。
そもそも、本当の母親でもないあの人から愛して貰いたいなんて思わないけれど。

気が付くと離婚していて、新しい“お母さん”と言う肩書きを連れて、あの人がこの家に来た。