「キスして、いい?」


そんなこと、聞かれても……。


ふと、中川の顔が浮かんだ。


「………ダメ」


冬夜の事が好き。


でも、まだ中川が頭の隅の方にいる。


それに、今日冬夜の気持ちを知ったばかりだし。


「そうだよな。俺、何、焦ってるんだろう」


冬夜は、少し傷ついたような顔をした。



私、冬夜を傷つけた…。



「ごめん……。私、もっとお互いの事、知ってからのほうが良いと思うの」



私、こんなに固い頭してたっけ?


しかも、逃げてる。


「そうだな。知り合ってまだ2ヶ月も経たないしな」

そっか。


夏休みに隣に越してばかりだ。


こうやって隣の家に入るのも初めてだ。


しかも、窓から。


もっと前から居るような錯覚を起こしてしまう。