あぁ
どこへ行ってしまったの


少女は森をさまよい歩き、必死に獣を探し始めました。

そろそろ引き返そうかと考え出したその時、少女の瞳に倒れた獣の姿が映りました。
そう。
少女を傷つけたくないがために、獣は自らの命を絶ってしまったのです。


どうしてこんなことをしてしまったの
あなたが生きてくれているだけで私は幸せなのに
自ら命を絶つことは絶対にしてはならないのに


少女はそこで泣き崩れました。
しかし、いくら泣いても、獣はピクリとも動きません。

そこで少女は、歌を歌い始めました。
それは二人の幸せな生活を綴った歌でした。


『村はずれの小さな村に
住んでいたのは優しい獣…』


不思議なことに、その歌を歌っている時だけ、隣に獣がいるような感覚を味わいました。

だから少女は歌い続けました。