しかし少女は自分の目が見えないのがもどかしいと思っていました。
私の目が見えれば
あなたの顔を見ることが出来るのに
少女がそう言う度、獣は、なんとかしてあげたいと思うようになりました。
それから、図書館で借りた色々な本を読みあさりました。
そしてようやく呪いを解く方法を見つけたのです。
しかし、獣はすぐに試そうとはしませんでした。
本性を知られるのが怖かったのです。
獣だとバレたら、嫌われてしまうのではないか
それを考えるたびに、獣はあと一歩を踏み出せませんでした。
もう一度空を見たいわ
一度でいいからあなたを見たいわ
少女がそういうたびに、獣の心がチクリと痛みました。
ようやく、獣は決心しました。
顔を見せて、嫌われてしまっても、少女の笑顔が見られればいいと思ったのです。
そして、本当に
呪いがとけた後の少女の顔は言い表せないくらい喜びに満ちあふれていました。
空が青いわ!!
鳥が歌っている!!
木漏れ日が眩しいわ!!
少女は嬉しそうに、クルクルと周りを見渡して、そして嬉しそうな笑い声をあげました。
あなたはそんな顔をしていたのね
そして、少女は獣にそっと向き直りました。
見ないで。僕の醜い顔を…
醜くなんてない。
私、あなたがどんな顔でも愛するわ。
ねぇ、あなたも私を愛してくれる?
あぁ。一生愛するとも。
そうして二人は愛を誓いました。
本当に幸せでした。
しかし、幸せは長くは続かないもの。