「おまたせしました。」
今度は違う店員さんが、
あたしにフルーツスペシャルパフェを渡した。
「いっただきまぁっす!...ん?」
イチゴが乗った細長いスプーンを
口まで運ぼうとしたけど...
なにか引っかかった。
「早く食べなよ、明花。」
「待った!」
あたしはスプーンをパフェに差し込んで、
机をバンッと勢いよくたたいた。
そのせいで、
他のお客さんから白い目を浴びた。
「ダメだよ!野上くんは家帰らなきゃ!」
「は?なんで?」
「それじゃあ賭けにならないじゃん!」
そう。この賭けは、
野上くんにとっては賭けではなかった。