いつも、教室で見せている"王子様"ではなく。 あの屋上で私が歌っているときに見せる笑顔。 (顔が、熱い…) 幸太郎くんと知り合ってから、どうも調子が狂う。 「じゃ、行ってきな。」 「う、はい。」 目も合わせられないまま、私はその場を後にした。 「…さて。」 タコみたいに顔を赤くした彼女を目で見送る。 「俺も、行きますか。」 ――彼女と同じになれるように頑張らないと。