「はあっ、はあっ」 (…え?) 「遅くなっちゃった…もう先生のせいで歌う時間ないじゃんー…」 (ちょ、待て。あいつは。) まだ俺に気づいていない彼女に近づく。 (嘘、だろ?) 「お前、なんでいる。」 ――クラスの影と呼ばれる奴が。 俺は目がいい。 だから、見間違えるはずがない。 彼女はこいつだったのか、と呆気にとられた。