それからお母さんはお父さんの分まで私を愛してくれた。


まるで何かに対する〝償い〟のように。


今のこの学校を決めた時だって、反対してくれると思ったのに何も言ってくれなかった。


だから今、病気のことを言ってもきっと変わらない。


空気が重くなったこの病室で玲香が口を開く。


「ねぇ空・・どんな親でも子どものことが気にならない親なんていない。」


本当に全ての親がそうであったらどんなに幸せなんだろうか。


でも現実はそうじゃない。


「お父さんは・・きっと会社が自分の子どもなんだ。」


「何でそうやって決めつけるの??」

玲香の言葉が胸に刺さる。

でも決めつけてなんてない・・・本当にそうなんだ。


お父さんが話すことと言えば〝会社が・・〟

「じゃあ、ずっと黙ってるの?」

「・・・。」

〝心配してほしい〟

軽いようで重い一言。

「空はお父さんのことが好き?」

あ、likeじゃなくてloveの方ねっ!!と付け加える。

思わず笑ってしまう。
「・・うん。」

「それを伝えればいいんだよ。」

〝好き〟を伝える・・って

〝心配してほしい〟より難しいじゃん!!

「空って・・ツンデレ?」

「だーれがツンデレか!!」

「あはは!やっと空、笑ったね!!」

え・・・あ・・・

そういえば笑うの忘れてた。

「いつもの空に戻ったね!」

「うん!!」

ありがとう・・玲香!!