何で怒ってるの・・・??

恐怖だけが心を支配した。

パパが怖い・・怖い・・怖いよッ!!

「いやぁああッ!!」

私の異変に気付いた母がすぐに部屋に来てくれた。

「空!!どぅしたの!?」

「早く、それをここから出せ!」

「あぁ・・空・・可哀想に・・」

あの時の父の顔が忘れられない。

あれから私は父と話すのが怖くなった。また怒鳴られる・・・ッ!!

父のあの顔を思い出すだけで私は怯えてしまう。

「何で空のお父さんはそこまで仕事にこだわるの?」

「私のお父さんさ・・社長なんだ。佐伯コスメの・・」

「はッ!?!?あの有名な!?」

そう・・父は佐伯グループの社長。

日本では知らない人はいない、大手の企業だ。

「私が使ってる化粧品、全部それ。」

「・・・ごめん。驚きすぎて声が出ない。」

もぅ出てるよ。っと笑いながらツッこむ。

「でも・・私は普通のお父さんで良かった。ただ愛してくれれば・・」

「空・・病気のこと・・お父さんに言うの?」

戸惑いながらも笑顔で返す。

「言えないよ・・言ったって・・」

ただ、愛してくれればいい。一緒に遊んだり、家族で出かけたり・・


社長のパパなんていらない。普通でいいから・・


他には何も望まないから・・

ただ・・私を愛してくれればよかった。