この時の記憶が消えてくれれば良かったのに・・

検査が終わった後、一旦病室へと戻された。

「どーだった?」

「まだ分かんないけど・・大丈夫だと思う。」
苦笑いで玲香に言う。

「不安なんでしょ?大丈夫だよ。きっと・・」

「うん。検査の結果さ、玲香も一緒に聞いてよ。」

「私が?いいの?」

「玲香がいた方がいいの・・安心するから・・」

「よっし!任せなさい!!」

コンコンッ―――

「佐伯さん。結果が出たので先生のところへ行きますよ。」

「はい。」

何て言われるんだろう・・正直、すごく怖かった。
だってまだそんな病気なんて何も知らないのに・・・


「佐伯さん・・驚かないで聞いてね・・」

「はい。」

「佐伯さんはね・・癌に侵されています。」

「・・・ぇ・・?」

「ねぇ・・先生!何かの嘘でしょ!?ねぇ!!!」

「本当です。辛いですが・・・」

「嘘だよ・・そんなはずないッ!だってこんなに空は元気なのにっ!」

玲香はぼろぼろと涙を流している。
私は涙が出なかった。

〝聞かなければ良かった。〟

頭の中にただ一つ・・この言葉が。

何で、私は聞いてしまったの?
ただの風邪とかじゃないの?


ねぇ・・誰か教えてよ・・

後、残された時間は何時間あるだろぅ・・