その客車に入ると
何故か急に周りが暗くなり、
ランプの灯りは
ロウソクの火みたいに
わずかに光っている程度。
外は長いトンネルの中を
走っているように
真っ暗闇になってしまった。
実際は無に
近づいていくのだから
ある意味、
本来あるべきものに
なっているのであろう。
全て憶測でものを
言っているが……。
それでも私達はそれをあまり
気にとめないで、
車掌の帽子だけ
見えている椅子に歩み寄る。
「なぁ、やっぱり
俺らを降ろし……」
と、ハジメさんは
車掌に話しかけたのだが
言葉を一瞬
止めてしまった。
その意味は車掌の前に
まわりこんで姿を見たら
すぐに私にもわかる。
車掌はさきほどの
清涼とした人の面影はなく、
幾年も風雨に
さらされたような
シャレコウベとして
そこに朽ち果てていたのだ。
「……て…くれないか?
景色を見るのも
飽きたんでね。」
ハジメさんは
多少驚いてたようだが
そのまま何事もないように
話しかける。
ただ、そこに根が
張ったような屍が
問い掛けに反応するとは
やぶさかに思い難い。
だけど生と死の狭間で生きる
オバケにとって、
そんな一般の常識は
小さいゾウリムシ程度の
ものだろう。
もしかしたら
目の前の屍が
ゆっくりとこちらを向いて、
重々しげに口を
開くんじゃないかって、
そんな気がした。
何故か急に周りが暗くなり、
ランプの灯りは
ロウソクの火みたいに
わずかに光っている程度。
外は長いトンネルの中を
走っているように
真っ暗闇になってしまった。
実際は無に
近づいていくのだから
ある意味、
本来あるべきものに
なっているのであろう。
全て憶測でものを
言っているが……。
それでも私達はそれをあまり
気にとめないで、
車掌の帽子だけ
見えている椅子に歩み寄る。
「なぁ、やっぱり
俺らを降ろし……」
と、ハジメさんは
車掌に話しかけたのだが
言葉を一瞬
止めてしまった。
その意味は車掌の前に
まわりこんで姿を見たら
すぐに私にもわかる。
車掌はさきほどの
清涼とした人の面影はなく、
幾年も風雨に
さらされたような
シャレコウベとして
そこに朽ち果てていたのだ。
「……て…くれないか?
景色を見るのも
飽きたんでね。」
ハジメさんは
多少驚いてたようだが
そのまま何事もないように
話しかける。
ただ、そこに根が
張ったような屍が
問い掛けに反応するとは
やぶさかに思い難い。
だけど生と死の狭間で生きる
オバケにとって、
そんな一般の常識は
小さいゾウリムシ程度の
ものだろう。
もしかしたら
目の前の屍が
ゆっくりとこちらを向いて、
重々しげに口を
開くんじゃないかって、
そんな気がした。