「気は済んだか?
もうすぐ終点だ。
ほら、おとなしく
座ってなよ」
私に気づいたハジメさんは
そう言って
長椅子のシートを叩いたが、
私は首を横に振る。
この人にまず
伝えなければいけない。
一緒にいる女性の事も
気になる所ではあるが、
優先すべきは何よりも
自分の命だ。
「ハジメさん、これを見て」
私は機関車から持ってきた
黒い乗客名簿を開くと
自分の名前が
載っているページを
指であてて見せる。
そして根拠の薄い
私の考察を聞かせてみせた。
思い過ごしなら
それでいいんだけど。
……どちらかと言えば
そうであったほうがマシか。
だけどハジメさんは
私の話を聞くと、
一緒にいた女性に
切符を見せて
くれるように尋ね、
自分の持っているそれと
何回か見比べて
顔をしかめた。
「……切符に書かれている
文字も一緒だな。」
ハジメさんは立ち上がり、
車掌のいる
後ろの車両の方へ向かい
扉を開けようとする。
……がその扉は、
ガツンとつっかえるような
虚しい音をたてただけで
開きはしなかった。
もうすぐ終点だ。
ほら、おとなしく
座ってなよ」
私に気づいたハジメさんは
そう言って
長椅子のシートを叩いたが、
私は首を横に振る。
この人にまず
伝えなければいけない。
一緒にいる女性の事も
気になる所ではあるが、
優先すべきは何よりも
自分の命だ。
「ハジメさん、これを見て」
私は機関車から持ってきた
黒い乗客名簿を開くと
自分の名前が
載っているページを
指であてて見せる。
そして根拠の薄い
私の考察を聞かせてみせた。
思い過ごしなら
それでいいんだけど。
……どちらかと言えば
そうであったほうがマシか。
だけどハジメさんは
私の話を聞くと、
一緒にいた女性に
切符を見せて
くれるように尋ね、
自分の持っているそれと
何回か見比べて
顔をしかめた。
「……切符に書かれている
文字も一緒だな。」
ハジメさんは立ち上がり、
車掌のいる
後ろの車両の方へ向かい
扉を開けようとする。
……がその扉は、
ガツンとつっかえるような
虚しい音をたてただけで
開きはしなかった。