「……だから!
もう少しだけ
いさせてもらえますか!
皆さんに迷惑は
かけないようにしますから!」

……しかし沈黙。
返答はない。

別にそんなムキになってまで
弁明する必要はないのだが
したたか不安が募ってくる。

こうなるとなんだか
吹き荒れてる風と
列車の音に
救われてる感があるな。

私は誰と
会話しているのだろうか?

「いて」

と、謀ったかのように
頭の上に何かが降ってきた。

そのまま足元に落ちた
それを見てみると
黒い色をした乗客名簿。
先ほど車掌が見ていたのと
一緒のものだ。

上にはボイラーから出た
パイプなどが
入り組んでいるだけで、
たまたまそこに
置いてあった物が
偶然私の頭に落ちてきた……
とかそんなんでは
ないと思う。

……見ろって事かな?
わざわざ頭にぶつけた理由は
わからんが。

状況からして
一応私はその怪しげな
名簿を開いてみた。

そこには数々の
乗客らしき名前や出身地、
生年月日などが
事細かく書かれている。