「そうなんですかー!!」

ガキの声が少し高くなった。こんな嘘で納得したらしい。所詮はガキだな

「こんな時間に大変ですね」

「ああ、まあね。じゃ、そう言う訳だから、おじさん、仕事に戻るよ」

つーか普通、私服で、深夜に仕事してるって言ったら不審に思うだろ
しかも一人だけで

なのに何であのガキは何も言わないんだ?

俺は後ろを振り返る。
少年はまだそこに立っていた。
不気味にじっと俺を見ている

「どうしたんですか?」

不敵な笑み、それに右手には、拳銃みたいなのを握っていた

「そ、それ…」

「あ、これですか?拳銃ですよー」

「銃刀法違反で捕まるぞっ!!」

「そっちだってナイフ持ってるじゃない」

くすくすと笑いやがって、俺を馬鹿にしてるのか!!?

「…誰から聞いた?」
「ん、何のことですか?」

「しらばっくれてんじゃねーよ。ガキが」

なめやがって!!
自分が拳銃持ってるからって勝てると思っているのか

…ここは一つ痛い目見せた方がいいな

「あ、もしかして通り魔のことですか?」

何か敬語なのが腹がたってきた。

「そうだ。さっさと答えろ」

「建設途中の建物、しかもなんの道具も持ってない、作業着でもない。私服。一人。男。などなど、これらを換算したら通り魔って結論に辿り着くのが普通でしょ?最近何かと騒がれてたし」

なるほど。って納得してる場合じゃねーだろ
「俺、とっても怖ーい!!」

と、言っておきながら、全然怖そうじゃねーじゃん!!
寧ろ嬉しそうだし

「ちなみにー」

段々言動が軽くなってきている

「これ、モデルガン、だから」

そう言ってウィンクする少年
こいつ―ばかか?

「フッ…いいのか?俺にそんなこと言って」
「いいのいいの、どうせ楽勝だし。どーせ、弱いんでしょ?小心者さん?」