「そんなの決まってんじゃん。
遅すぎなんだよ、来るのが。
俺は今まで散々助けを求めてきただろーが。
それなのに、
神様は俺を苦しめた。
苦しめて、苦しめて、散々苦しめて…っ
俺が新しい神になってやろうと決めた時になって
セイラ、あんたをよこした。
ハッ なんだよ?
俺は救う価値がなくてほっといたが?
自分の位を盗られるのは嫌だから
今さら、仕方なく俺に助けをよこした。
ってわけ?
笑わせる………」
「違いますよ」
今まで、俺が胸の中に抱え込んできた想いを、全てぶつけた。
自分でも、恐ろしく自分勝手な考えだと思う。
叩かれて、大声で間違っているとののしられてもおかしくない。
しかし
セイラは、叫ぶわけでもなく
ただ穏やかに、でも強く否定した。
「そんなわけありません。
神様は、あなたをずっと気にかけておられました。
ただ、神様はおっしゃってました。
“出来るところまで、頑張ってほしいのだ”
と。
天使が救いに行く人間は
“心に深い傷を負った人”
なんです。
でも、人間は、誰しも傷ついたことがあるんです。
だから、全員救いたくても天使にだって限りがある。
だから、
“頑張ればその傷を乗り越えられる人間”
でも、
“何かでそれが出来ない人間”
に少しお手伝いに行く。
それが私たちの仕事。
だから、神様はあなたを見捨てていたわけではありません。
ただ、出来るところまで自分で頑張ってほしかったのです。
あなたは乗り越えられると信じ、応援していたから…」