震える唇に力をいれて、声をしぼりだす。

そうしてやっと出てきた声は
かすれた、非常に弱々しいものだった。


「な…何をしに、ココへ…?」


そんな俺の声とは反対に、セイラはハッキリとした声で質問に答えた。


「お仕事をしに地上におりてきました。


岩崎望くんっ」


そう言って俺と同じ高さまでおりてきた。


「へ…? 何で俺の名前…」


「当然ですよ!

お仕事をする方のことは事前に調べておくものですから!」


セイラは考える間もなく、拳に力をいれて力説した。

でもそれは、俺には理解の苦しいものだった。


「なんだよ? それ…

っていうか、その“仕事”って…」



「天使の仕事は、神様に使いを頼まれて“人間を救うこと”ですっ!

神様は何分忙しいので、天使が神様のお手伝いをするのです。


その、私が救う人間があなたなんですっ」


天使に救われる?

俺が?


ハッ ありえねぇ。


俺はこれから“神”になるんだから。

こんな地獄からサヨナラして。


神より格下の奴なんかに、俺を救えるかよ。



………遅すぎなんだよ。

バァーカ……。