でも、セイラが口にしたのは、説教でもなく


俺が予想したどんなことでもなかった。



「大丈夫ですか?」



そう、一言いったんだ。


一瞬、自分の耳を疑った。


「痛くないですか…?


傷ついて…ないですか?」


この場面で俺を心配するのか?


『どこも。

怪我するようなことやってないだろ。
いったいどこ怪我すんだよ』


「心…ですよ……


天使は、どんな生物よりも心の変化に敏感なのです。

もしかしたら、神様よりも…


私たちは、神様の慈愛によって創られ、護られているので。


その天使の中でも、特に私は心の変化に敏感なんです」


そう、優しく笑った。