「だからちょっと気まずくて」
「でも喧嘩してる訳じゃないんでしょ?」
「そりゃそうなんだけど……」
「ふーん、なんかややこしそう」


歩きながら話していたあたし達は、気が付くといつも昼食をとる中庭まで来ていた。
千夏はベンチに弁当を置くと「ちょっとトイレ」と言って行ってしまった。

歩いてきた途中にあったのに、あたしが話してたからかな? 千夏ははきはき物を言う割に人に気を遣うところがある。


あたしは一人ベンチに座り、風でガサガサ揺れる袋の中を見つめた。メロンパンの甘い匂いが鼻をくすぐる。

――と、不意に袋の上に影ができ、「千夏?」と思いながら顔を上げた。