――でも、ちゃんと分かってたよ。
言葉は乱暴だけど、
ほんとは心配してくれてたこと。
千夏の優しさは、少し不器用で気付きにくいけど、伝わってたから。
「何よ、その顔は?」
「何もっ。ただ……ありがとね」
あたしが笑うと、千夏も笑った。
照れ隠しに「果歩はいいね。理玖君は幼なじみで岡田君は彼氏でしょ?」と言いながら。
「いや、前半合ってるけど後半違うから」
「あ、もうすぐ彼氏になるんだっけ?」
「違うってば。もーっ、千夏!」
「あれー? 果歩先輩っ?」
「え?」
いきなり入ってきた第三者の声に、千夏と顔を見合わせた。
あたしのことを果歩先輩って呼ぶのは、一人だけ。声の方へ振り返ると、やっぱり彼だった。
「駿くん」