「お前ら全然話してなかったじゃん」
「あ、言ってなかった? 俺ら幼なじみなの」
「は? まじで?」
「まじまじ」


驚きを隠せない様子の川越君に、理玖は意地悪っぽく笑った。

なっ?と同意を求められ、あたしも笑顔で頷いた。それを見た川越君は「お前ら二人で俺をからかってんだろ?」とまで言い出す始末。
あたしの隣で一部始終を見ていた千夏は、笑いを堪えきれず吹き出していた。



――――

「あー、川越ウケたねーっ」
「ほんとほんと! 意地でも信じないし」


帰り道、千夏が昼間のことを思い出して笑った。それにつられて、あたしも自然と笑みがこぼれた。

「でも、元に戻れて良かったね。果歩達」


千夏は、これでも心配してたんだから、と照れ臭そうに付け加えた。
あたし達のこと、ややこしそうって面倒くさそうに言ってたのに。