「……やっぱ、女って変わるな」


理玖は、あたしの背に合わせて曲げていた腰を伸ばして一歩下がった。
あたしは、その言葉の意味が分からず、首を傾げる。

あたし、変わった?
変わったのは理玖の方でしょう?


「理玖だって」
「え?」
「なんか……男の人みたい」
「いや、俺、男なんだけど」


おい、と突っ込みを入れられ、必死で否定した。
そういう意味じゃなくて、大人になったってこと。

中学に入ってから部活一直線で、あっという間にサッカー部の戦力になった理玖。
この高校に入るのだって、サッカーの推薦だった。

大人の階段を駆け上がる理玖の隣で、あたしは一人取り残された気がした。


「ずるいよ。一人で大人になっちゃって」