雨上がりの空はまだ雲が残っていて、いつもの同じ時間より薄暗い。
「びっくりしてるだろうな」
あんな態度とって嫌われちゃったかもしれない。
嫌われたら……今までみたいには話しかけてくれないよね?
もう、あの笑顔を見せてくれることもなくなっちゃうのかな。
あたし、たとえハルが女たらしでもいいよ。
好きになってほしいなんて望まないから、せめて嫌いにならないで。
――なんて、身勝手なお願い。
あたしが勝手に怒ったくせに。
屋上のフェンスにもたれかかり、自己嫌悪。
もう帰ろうかと思った、その時。屋上のドアがすっと開いた。
「理玖……」
――少しずつ動き出した運命の歯車。
あたしは、本当に何も知らなかった。
あなたの気持ちも、あなたを傷つけてしまっていたことも。