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5年生の合奏にあわせて、体育館に入場した。

そう、今日は卒業式―――。


4人で約束した、ネクタイの晴れ着。

それに身を包み堂々と入場する。


着席すると、当時大嫌いだった隣のクラスの先生を睨みつけた。

今までの憎しみもこめて。



式が始まると、思い出が浮かんできた。

浮かんだ思い出は全て、楽しい事や嬉しいこと……いじめた事。


ニコニコになるような事ばかり。



そしてそれは…浮かんでは消え、

浮かんでは消えていった。


いつのまにか、まるでこれからの不幸を予言するかのように、

楽しいことや嬉しいことは掻き消された。


嫌な事が浮かぶようになってきた。


だけどふと3人の顔を見て、なんとか笑顔を取り戻した。



中学校に上がっても、他校からくるのは10人程度。

あとは2・3人お受験でいなくなるだけだから、哀しくなんか…ない。


一滴の涙も流さず式を終えた。