「何コレ……?」
中井はそれを不思議そうに見る。
中井が言う“コレ”とは……、
そう、俺が装着していた
黒斑メガネと真っ黒のカツラだった。
うっわ。
死にてぇ。
「やべぇ……変装道具が……。」
俺は小声にもかかわらず驚きすぎてそう言ってしまった。
なんでそんな所まで吹っ飛んでんだ?
もう今更、地味男なんかできねぇし。ー
無理かもしれねぇ。
そして、ガチで静かすぎるこの教室。
そのせいで、今の声が聞こえたのか、中井は視線をメガネとカツラの方に戻した。
それを見て急に必死に何か考え始める。
その行動があまりにも可笑しい。
「どっかで見た事あるような……。」
そう何度も呟く中井。
おいおい……さぐってんじゃねぇよ。
それから少しして何かを思い出したかのような顔をした。
「………あ!」
そして中井は驚きながら俺の方を何度もチラチラと見てくる。
「…………!?」
もしかして、俺が佐伯蓮って事がバレたか?
焦りで額に汗が滲む。