次の日の翔ちゃんはいつもと変わらなかった。
それが逆に変な感じはしたんだけど、でもちょっとだけ変わったかも。
あれ以来バイトが遅くなるって電話しても「気を付けて帰れよ」って優しく言う翔ちゃんがなんだか少しだけ遠く感じたり。
優しいのは変わらないけど、もう前みたいに怒んないんだよね。
もしかしてホントに愛想が尽きちゃったの…?
怒られないのが不安なんておかしいけど、あの日を境になんだか距離が出来ちゃったよ。
「…って、愛菜聞いてたか?」
「ふぁっ??」
「フッ。なんだ、その返事。」
「ご、ごめん!…って笑いすぎだよ!」
気の抜けた返事をした私を見ながらまだ翔ちゃんは笑ってる。
「おじさんまで笑いすぎだってば!」
「悪い悪い、ホント愛菜ちゃんはかわいいね。さ、診療所の掃除に行くかな。」
「かわいいってよりバカ丸出しだぞ。」
「もう!翔ちゃんたらひどい!」
「じゃ、俺も行くわ。七時に神社に待ち合わせだから、遅れるなよ?」
「うん!じゃ、夜にね!二人とも行ってらっしゃい!」
今日は花火大会。
翔ちゃんは6時まで会議らしいから神社で待ち合わせることにしたの。
今日のバイトは休みにしてたし、今から掃除と洗濯を済まして浴衣の準備しなくちゃ!
といっても、助っ人さん達がお昼に来るんだけどね。