『遥が、好きだよ？』


今度はやっとこちらを向いてくれた目を見て。


「……ははっ、ありえねー。

どうせその後に“紫水くんのことはも～っと好きです”とかくっつくんだろ？//」


狼狽える遥だが、今までの経験から私の言葉が信じられないらしい。


それなら、ちゃんと届くまで。

ちゃんと信じてもらえるまで、言うよ？


『遥だけが好きだよ？』


「……っ//」


今度こそちゃんと伝わった。


頭の天辺からつま先まで真っ赤になった遥を見てそう思う。



「こっち見んな!!//」


私の視界から自分の姿を覆い隠そうと、顔の前に手をかざしてくるけど……。


『指と指の隙間からバッチリ見えてるよ？』


「なっ……!!//」


こういうところ、すごく遥らしい。



「本当に俺でいいのか？//」


落ち着きを取り戻した遥が私にそう問い始めたのは、だいぶ後で。


『……うん』


こういう時は“俺様”じゃなくなるんだ、なんて思いながら頷く。


すると不器用に抱き寄せられて、


「俺もお前が好き//」


と、囁かれた。


不器用だけど、背中に回された遥の腕は優しくて。


不意打ちだったから、遥のが移ったみたいに私まで赤面してしまう。