あれから思いの外、時間が経っていたらしい。

明かりが消えて薄暗くなった廊下を歩く。


皆で騒いでいた部屋の前まで来た時、ゴソゴソ動く人影を見つけた。


あれは……?



『何してるの?』


近寄って声をかけると、その人は自分の手元から目を逸らさず答える。


「見りゃわかるだろ。

片付けだよ」


聞けば他の人はみんな騒ぎ疲れ、眠ってしまったらしい。


『手伝うよ』


そう言って隣に腰を下ろした。


二人とも無言で作業を続ける。


『……好きだよ?』


ぽつんと。

唇から想いが溢れて零れ落ちた。


さっきはあんなに言いにくかったのに、自然と声に出していた。



「……は?」


遥が手にしていた紙コップを落とした。


落ちた紙コップは廊下をコロコロと音を立てて転がる。


それが止まった時に、もう一度同じ言葉を繰り返した。