禁句!!

その言葉、さくらさんには禁句なの!!

遥、盛大に地雷を踏んじゃったよ……。


心の中で慌てるも、時すでに遅し。


未だその美貌は衰えない、現役バリバリの女優・清川さくらの耳は遥のぼそぼそとつぶやいた言葉もしっかりと拾っていて……。


カッカッカッ……。


「桃山遥くん、だったかしら?

ちょ~っとこっちへいらっしゃいな」


「……えっ?」


嫣然(えんぜん)と微笑んださくらさんが戸惑う遥の腕を引いて退室していった。


遥、ドンマイ。


さくらさんのあの笑顔の下には、般若の如き恐ろしい形相が隠れているに違いない。


「ハルちゃん大変だね?☆」


すぐ隣で様子を見守っていた由依が、少しだけ心配そうに問いかけてくる。


『うん。

でも、さすがのさくらさんも捕って食ったりはしないと思う……たぶん』


自分で言ってて自信なくなってきた。