「……は?」


家族水入らずの感動の場面に間抜けな声が割り込んだ。


『ちょっと、遥!!

空気読んでよ』


普通こういう時は遠慮するものだ、なんて文句を言うと遥がムッとした表情になった。


「この人たち、なんでお前の本名知ってんの?

つか、“お母さん”と“お父さん”って何だよ!?」


……えっ?


思わぬ返答に目が点になる。


本名知ってる。

お母さん、お父さん……。


言われた言葉を数度反芻した後……?



『しまった~!!』


叫んだ。


バカ。

私のバカ。

お父さんもお母さんもだいぶマズイ発言してたけど、決定打は私じゃん!!


ううっ、私ってなんて迂闊なんだろう?


『え~っと、そもそもの始まりがこの人たちのせいっていうか、みんな家族っていうか……』


今さら説明しづらいよ……。


「紹介するわね~。

こちらカナちゃんのお母さん。

んで、こっちがお父さん。

それからこっちが、おばっ……さくらさん」


はい、酔っ払った社長さんがかわりに全部まるっと説明してくれました。


私のさくらさん……。

この言い方、変だ。