八つ当たり。

半分くらいはそうだと思う。

でも、お兄ちゃんだって悪いんだからね!!


泣き喚きながらすがり付いてくる兄を想像し、毅然とした態度で接するべく兄を一瞥した。


『……あ、れ?』


お兄ちゃんが固まってる?

それもムンクの叫びみたいな顔をして……。


「お兄さん、ショックのあまりフリーズしちゃったみたいだね」


チョンチョンと未だ動かないお兄ちゃんを人差し指でつついてから紫水がさらりと言った。


『えっ、ウソ~!!』


紫水の診断結果に慌てる。


お兄ちゃん、いつもは立ち直り早いのに……。


「お兄ちゃんをあんまりいじめちゃダメよ?」


『……はい』


お母さんにたしなめられて、項垂れた。


今回はちょっと酷かったかもしれない。


『お兄ちゃん、ごめんね?』


近寄って、自分の目線より少し高い位置にある兄の顔を覗き込んだ。


あんなでも、私のたった一人のお兄ちゃん。

様子がおかしいとなれば心配もする。