「……それを答える意味は?答えたら俺にメリットあるか?」


「…………は?」


「無駄に首突っ込むな。」




何かが変わっていてくれたら良い…。

――…そんな願いは無駄ですか?


冷たい視線と冷たい言葉に膝の上の掌をギュッと握りしめて俯く事しかできなかった。




「眞子の悪趣味が終わるまで此処にいるつもりなら、俺を詮索すんな。」


「それ…仮にも元カノに言う事?
しかもこれから同棲するのに。」




こいつは世界一嫌いな男だ。

それなのに、昔の事を思い出すたびに何かが引っ掛かってしまって、一概に嫌いな男とは言えなくなってしまう。




「間違うなよ。

同棲じゃなくて、同居。


お前はただの同居人。友達でも元カノでもねぇよ。」




ほんの少しの暖かい過去が一瞬にして崩れ去った。

この男は私を友達とも元カノとも認識してくれてはいなかったんだ。

じゃあ、なんだろう。



――…私って、透のなんだったんだろうか。



その答えはきっとずっとずっと先の未来にあるのかもしれない。