私の脳は、かちりと時の指針を止める。
季都々の瞳孔が開いていた。
「何言ってるの明日早ちゃん。私、瀬木先生が好きだよ?」
「あの先生を好きだった自分を、なかったことにするために?」
「―――っそん」
「お菓子!お菓子なくなっちゃったね!ことりちゃん追加欲しいな!」
不自然な入り方をした季都々の言葉に、あみ空は無表情で、明日木明日早は笑っていた。
「下から、持ってくるわ。手伝ってくれる?明日木さん」
私、ちゃんと笑えているかしら。
引きつってないかしら。
あみ空を季都々に任せて部屋の扉を閉め、階段を下る明日木明日早の背中を押してやろうかと思った。