「藤野には僕のシャーペン貸すからさ」 ね、貸して。と、可愛らしく小首を傾げて言ってくる加藤を、本気でぶん殴りたいと思ったのは、後にも先にも多分今日が初めてだったのではないだろうか。 「……」 持ってたんかい。 あったんかい。 「自分の使えよ……」 「なんで?」 なんでじゃねぇ。