「お、はよう、藤野」



ああもう、ああもう、ああもう!


竹谷先輩が変なこと言うから!聞くから!余計に無駄に心配になるじゃないか!意識してしまうじゃないか!



どうかそんなことになりませんように。



まさかまさか藤野にバレてはいないだろうと。


よもやよもや藤野が挨拶を返してくれないはずがないだろうと。


わかってはいるのに。


それでも汗のようにタオルでは拭えない不安が、俺の脳みそをぐわんぐわんと鳴らす。




出来るのならば、あの日に戻ってもう一度おはようと言いたい。

言って、安心させてやりたい。


そうすれば藤野が不登校になるなんて、そんな事なかったんだ。


そうすれば、藤野が瀬木に恋をすることなんか、なかったんだ。