「藤野、おい、藤野」
「うん?」



そんなよこしまな考えを抱きつつ、ノートに向かっていれば、隣から私を呼ぶ加藤の声がして顔を上げた。



「ごめんシャーペン折れた」
「それは折ったの間違いじゃないのか、加藤くん」



本当、どうやったらこんな風に折れるのだろう。無残な姿で帰ってきたシャープペンシル(ペン子さん)を受け取って、溜め息が漏れた。