続々と賑わい始める校舎に、俺は土を払って立ち上がった。
「それに、俺が藤野を名前で呼ぶときは、藤野が俺のものになったときですからね」と呟けば、竹谷先輩は興味がまるでないように「あっそー」と欠伸を噛み殺した。
どうやら俺に一発入れたことによって、よくわからない達成感に満たされたようだ。
汗を拭い制服に着替えて部室を後にし教室へと急ぐ。
おはようも言えないままショートホームルームを耐えるなんて嫌だ。
しかし汗臭いとも思われたくないので早歩き。
がらりと開いた扉の向こうに広がる室内は、いつもとなんら変わることがなくて少し安心した。